読書メモ『あなたの隣のサイコパスな人』
『あなたの隣のサイコパスな人』 https://publications.asahi.com/product/26089.html
最近足を運んでいる図書館の新刊コーナーで見かけて、借りてみた。
序盤はサイコパスの特性がある人の実例が紹介され、サイコパスは単純に線引きできるものではなくスペクトラム状だと説明される。ただ、実例として周りに害を及ぼす上司や同僚、友人、恋人とともに、殺人犯などが並べられると、恣意的な二分法を紹介されているようにも感じる。 「サイコパス特性を見抜くための質問票」「ダークな行動スキャナー」などの質問集も載っており、それらに広く該当する人はまあそういう傾向のある人だろうなと思いつつも、同時にレッテル貼りの危険性が気になる(本書にもこれらの質問集への答えだけをもとに人格を断定することはできないとは書かれてはいる)。
読み進めていくと、状況によって「善良な人」が悪い行動に走ってしまうこと、そして自分自身に潜む悪意についても触れられていく。世の中には外れ値レベルの特性を持つ人はいるわけだけど、その他の大多数の人もストレス下や匿名性がある状況では、悪い行動を取る可能性が高まると。
この展開はなかなか上手い。序盤に感じた二分法が溶けていき、グラデーションが広がっていく。
本には状況によって引き出される悪い行動が書かれているが、逆に考えると行動に影響を与える状況への理解を深め、その時々の状況に意識を払って改善し続ける努力をすれば、周囲の人も自分自身も「善良な人」を維持できる可能性を高められるはず、と思えてくる。
例えば、職場や近所で一定の自己開示を心がけたり(匿名性を減らす)、密室でのやり取りを避けることで、周囲に負の影響を与える行動が出にくくなるだろう。最近仕事のほとんどの会議が録画&文字起こし付きで、同僚とのやり取りも Slack の公開チャンネルでおこなうため、ダークな行動が抑制されてる側面も一定あるように感じる。まあ、結局は集まっている人次第ではあるのだけど。
他にも、ダークな人格特性が成功につながりやすいか、についても書かれていてこれもなかなか興味深かった。出典まではみてないが「サイコパス的特性をもつリーダーは、そうでないリーダーよりも投資家に利益をもたらさない」らしい。ダークな人がたくさんいたらその中の一部が実際に成功したり、場合によっては利己的な行動が偶然に集団全体への貢献を生み出すこともあるだろうけど、大多数のダークなリーダーは害を及ぼすデメリットが勝つというのは想像に固くない。
正直この辺はどう捉えるべきかあまり考えが整理できてない。大昔はダークな側面含めた多様性が大きな環境変化を乗り切るのには必要だったということはありそうな気がしたり、「多様性」と表現してみると一定維持すべきものにも感じられてしまう。
とは言え、自分の過去の経験からも周りにそういう人がいることで発生する負の影響は厳しいものがあり、この本に書かれている実用的なアドバイスは頭の片隅に置いておくと良さそうではある。